綺麗な顔

「じゃあ、乾杯しようか」

 

「はいっ」

 

「じゃあ〜、葛城さんの未来に!!」

 

「かんぱ〜い」

 

私と城木さんは、仕事疲れを癒すかのように、グビグビ飲んだ。

 

「…美味しい。来て良かったですっ!!」
「たまには気分転換しなくちゃね。
葛城さん、ほんとツラそうだったからさ。」

 

「確かに仕事も、まだまだいっぱいいっぱいだったし、彼の事でも悩んでたんで…」

 

「でもさ、葛城さんはいい子だからすぐ彼が出来るような気がするな。」

 

「城木さん…いい子って…。
可愛いとか、スタイルいいとか、お世辞でも何かないですか?」

 

「ははは!!可愛い可愛い!」

 

「もー。」

 

にしてもさ、ブルーになる程好きだったのに、別れたんだ?」

 

城木さんは、じっとこっちを見ていた。
うぅ、あらためて見るとイケメンだ。
高畑さんとはまた別な綺麗な顔。
私は何となく恥ずかしくなって下をむく。

 

「はぁ〜、その、彼が、ですね。まぁ、いわゆる あれですよ。 浮気症ってやつですよ。」

 

「えぇ〜、そうなんだ。」

 

「絶対私のとこへ戻ってくるし、優しかったから…なかなか離れられなかったんです、私が。バカでしょ?」

 

私は、チューハイカルピスをグビッと飲んだ。

 

「いや、ちゃんとケジメつけたんだからバカじゃないよ。
葛城さんが、すごく好きになっちゃう程いい男だったんだろうけど、浮気症はダメだよね。」

 

「も、全然普通の男ですよ。城木さんの方が断然イケてますよ。」

 

しばらくして料理が次々運ばれてきた。
私はどれもこれも美味しくて、とても楽しくなっていた。

 

お酒の力もあり、
気分がすごくいい。
チューハイも2杯目の半分まで飲んだ。
「城木さん、すみませーん。私、ちょっとお手洗いに。」

 

「どーぞ、行ってらっしゃい。」

 

手をヒラヒラさせて城木さんは見送った。
私が部屋の障子を閉めた時、城木さんの携帯が鳴っているのが聞こえた。

 

「もしもし…」

 

私は城木さんの電話の邪魔にもならないしトイレはちょうど良かったと思いつつ、ちょっとフワフワしたいい気分を味わいながら、トイレに向かった。

 

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トイレから戻ってきて
「城木さん、お待たせしました」
と言いながら私は障子を開けた。

 

すると、城木さんの姿がない。